その他関係法令等

PCB特措法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法)

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法等の改正(平成28年8月1日施行)

(1)高濃度PCB廃棄物の基準

高濃度PCB廃棄物の基準が定められ、高濃度PCB廃棄物、その他のPCB廃棄物(以下「低濃度PCB廃棄物」という。)の区分が明確となった。

【高濃度PCB廃棄物となる基準】

高濃度PCB廃棄物となる基準

(2)高濃度PCB廃棄物の処分期間

高濃度PCB廃棄物について、PCB廃棄物処理基本計画に基づき、下表の計画的処理完了期限(特例処分期限日)の1年前までの高圧トランス・コンデンサ等及び安定器等・汚染物の処分が定められた。

【高濃度PCB廃棄物の処分期間等】

高濃度PCB廃棄物の処分期間等

※上表は施行令別表を基に作成したもの。
※令和4年5月31日付けのPCB廃棄物処理基本計画の変更により、
①特例処分期限日に加えて2年程度の処理期間が必要と見込まれる高濃度PCB廃棄物について事業終了準備期間も活用し処理を行うこととした。
②事業終了後に発覚した北九州事業対象地域の変圧器・コンデンサー等について大阪事業所及び豊田事業所での広域処理を実施することとした。

【低濃度PCB廃棄物の区分】

「無害化処理に係る特例の対象となる一般廃棄物及び産業廃棄物(平成18年7月環境省告示第98号)」が令和元年12月に改正され、PCB濃度が 5,000mg/kg(0.5%)以下の汚染物の一部が次のように改正された。

  1. 汚泥、紙くず、木くず又は繊維くずのうち、当該汚泥、紙くず、木くず又は繊維くずに塗布され、又は染み込んだPCBの量が汚泥、紙くず、木くず又は繊維くず1㎏につき100,000㎎(10%)以下のもの
  2. 廃プラスチック類のうち、当該廃プラスチック類に付着し、又は封入されているPCBの量が廃プラスチック類1㎏につき100,000㎎(10%)以下のもの

【低濃度PCB廃棄物の区分】

低濃度PCB廃棄物の区分

※PCBを使用していないとする電気機器等であって、非意図的に微量の PCB に汚染された絶縁油を含むもの

循環型社会の形成

廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物処理法の改正、各種リサイクル法の制定等により拡充・整備が図られてきているが、今日、我が国は様々な課題に直面し、「廃棄物の発生量の高水準での推移」、「リサイクルの一層の推進の要請」、「廃棄物処理施設の立地の困難性」、「不法投棄の増大」などへの対処は喫緊の課題となっている 。

(1)循環型社会とは

循環型社会とは、「廃棄物の発生抑制と適正な循環的利用・処分により、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」であり、大量生産・大量消費・大量廃棄に代わる、持続可能な社会のことである。
現在では、「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、生産から流通、消費、廃棄に至るまで物質の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費が抑制され、環境への負荷が少ない「循環型社会」を形成することが急務となっている。
平成12年に制定された循環型社会形成推進基本法※は、持続可能な循環型社会を実現し、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的としている。
※循環型社会形成推進基本法の概要 https://www.env.go.jp/recycle/circul/kihonho/gaiyo.html
国では、環境基本法をはじめ、循環型社会形成推進基本法を柱とする資源有効利用促進法や容器包装リサイクル法等のさまざまな廃棄物関連法を制定し、国民・事業者・地方公共団体そして国自らに資源の循環と廃棄物の発生抑制等について努力するように求めている(図1参照)。

図1 循環型社会の形成の推進のための法体系

図1 循環型社会の形成の推進のための法体系

(2)線形経済から循環経済へ

持続可能な社会の創造のためには、従来からの大量生産、大量消費、大量廃棄といった流れが一方通行の「線形経済(リニアエコノミー)」から、持続可能な形であらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る「循環経済(サーキュラーエコノミー)」へ移行する必要がある。循環経済とは、単にリサイクルを進めるだけではなく、3Rの取組に加え資源投入量と消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながらサービス化等を通じて付加価値を生み出す経済システム(図2参照)であり、同時に、地球温暖化対策や廃棄物問題等、様々な環境問題にも寄与するシステムである。
廃棄物処理業界は従来の線形の廃棄物処理業から資源循環産業へ移行することで、「循環経済」の輪を回転させる原動力として期待されている。

図2 従来の線形経済から循環経済へ

図2 従来の線形経済から循環経済へ
出典:環境白書(令和3年版)を一部修正

各種リサイクル法

廃棄物の処理を適正、かつ円滑に推進していく上で必要不可欠な法令には、廃棄物処理法のほか、リサイクル関連法や環境に関する各種の法令等があり、排出事業者、処理業者はこれら多くの法令等の適用を受け、規制の対象となるすべての法令等を遵守しなければならない。
したがって、排出事業者、処理業者は、適用される法令等を十分に認識するとともに、新たに制定される法令等や法改正を適宜、的確に把握する必要がある。
特にリサイクルについては、廃棄物処理法のほか、廃棄物の種類に応じて個別のリサイクルシステムが構築されているので留意が必要である。平成7年に容器包装リサイクル法、平成10年に家電リサイクル法、平成12年に建設リサイクル法と食品リサイクル法、平成14年に自動車リサイクル法、平成24年に小型家電リサイクル法、令和3年にプラスチック資源循環法が順次成立し、現在の各種リサイクル法の枠組みが整備された。
各種リサイクル法に基づき、産業廃棄物を処理する場合、産業廃棄物処理業の許可が必要なものや不要なものがあるので、産業廃棄物処理業者は、許可の要不要に留意し、適切に対処する必要がある(表1参照)。

表1 各種リサイクル法の概要

表1 各種リサイクル法の概要

プラスチック資源循環促進法(令和3年成立)

(1)リサイクルの枠組み(概要)

製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組(3R+Renewable)を促進するための措置を講じるとしている。

  1. 設計・製造

    【環境配慮設計指針】
    製造事業者等が努めるべき環境配慮設計に関する指針を策定し、指針に適合した製品であることを認定する仕組みを設ける。

  2. 販売・提供

    【使用の合理化】
    ワンウェイプラスチックの提供事業者(小売・サービス事業者など)が取り組むべき判断基準を策定する。
    主務大臣の指導・助言、ワンウェイプラスチックを多く提供する事業者への勧告・公表・命令を措置する。

  3. 排出・回収・リサイクル

    【市区町村の分別収集・再商品化】
    プラスチック資源の分別収集を促進するため、容リ法ルートを活用した再商品化を可能にする。
    市区町村と再商品化事業者が連携して行う再商品化計画を作成する。
    主務大臣が認定した場合に、市区町村による選別、梱包等を省略して再商品化事業者が実施することを可能とする。

    【製造・販売事業者等による自主回収】
    製造・販売事業者等が製品等を自主回収・再資源化する計画を作成する。
    主務大臣が認定した場合に、認定事業者は廃棄物処理法の業許可が不要になる。

    【排出事業者の排出抑制・再資源化】
    排出事業者が排出抑制や再資源化等の取り組むべき判断基準を策定する。
    主務大臣の指導・助言、プラスチックを多く排出する事業者(当該年度の前年度においてプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が250トン以上)への勧告・公表・命令を措置する。
    排出事業者等が再資源化計画を作成する。
    主務大臣が認定した場合に、認定事業者は廃棄物処理法の業許可が不要になる。

(2)対象となる廃棄物

プラスチック使用製品廃棄物等(プラスチック使用製品廃棄物、プラスチック副産物)

(3)廃棄物処理法との関係

対象となるプラスチック廃棄物は一般廃棄物、産業廃棄物ともにあり、認定事業者と認定事業者の委託業者(以下「認定事業者等」という。)は認定を受けた事業計画の範囲で、処理業の許可が不要となる。認定事業者等は、収集・運搬又は処分に係る委託基準、処理基準等廃棄物処理法の適用を受ける。

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