廃棄物処理法の近年の主な改正

令和元年改正

(1)廃プラスチックの保管上限の緩和

外国政府による使用済プラスチック等の輸入禁止措置に伴う国内での廃プラスチック類の滞留、処理が逼迫している状況を踏まえて、施行規則第10条の4の2各号に掲げる基準に適合すると認められた者(優良産業廃棄物処分業者)が、処分又は再生のために廃プラスチック類を保管する場合は、その保管上限を従前の2倍(当該施設の1日当たりの処理能力に相当する数量に28を乗じて得られる数量)とすることができることとした。

(2)欠格要件の見直し

「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」の施行に伴い、廃棄物処理法の成年被後見人等に係る条項の改正が行われた。
この改正により、廃棄物処理法第7条第5項第4号イで規定される「成年被後見人若しくは被保佐人」が「心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの」と改められた。

(3)無害化処理認定施設等の処理対象となるPCB廃棄物の拡大

橋梁等の塗膜、感圧複写紙、汚泥をはじめとする可燃性のPCB汚染物等について今後もさらに増加していく可能性があることから、これらの汚染物等の処理体制の構築に向けて、PCB濃度が5,000mg/kgを超え100,000mg/kg以下の可燃性の汚染物等を無害化処理認定制度の対象に追加した。ただし、これらの可燃性の汚染物等の燃焼条件(※)については変更が無く、従前どおり燃焼ガスの温度が1,100℃以上で2秒以上滞留することが必要である。
※産業廃棄物処理施設の技術上の基準及び同施設の維持管理の技術上の基準

令和2年改正

(1)新型コロナウイルス感染症に対処するための特例措置

  1. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)※の感染拡大を受けて廃棄物の処理を適正かつ円滑に進めるため、①市町村長が一般廃棄物処理業の許可を要としない者を、都道府県知事等が産業廃棄物処理業の許可を要としない者を感染症対策として必要な期間に限定して、処理する能力がある者として指定できる制度を創設するとともに、②感染症の影響により産業廃棄物処理施設の処理能力が低下した場合等に一定の廃棄物の保管上限を拡大できることとした。
  2. 廃棄物処理法上、一定の期限までに履行しなければならない義務の一部について、その履行が困難になっている状況を踏まえて期限延長等の措置を講ずることとした。具体的には、①各種変更の届出に関する特例、②定期検査の期間に関する特例、③年次報告等の報告期限に関する特例、④産業廃棄物の保管の届出に関する特例、⑤産業廃棄物管理票に関する特例などである。

    ※新型コロナウイルス感染症に関しては以下に通知や対策が取りまとめられている。
    新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の処理及び感染拡大への対応に関する通知等(環境省)
    http://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/infection/coronatsuchi.html

(2)災害廃棄物及びPCB廃棄物に係る一般廃棄物処理施設の設置手続きの特例措置

近年、非常災害が全国各地で頻発し災害廃棄物が大量に発生している状況を踏まえ、これらの廃棄物を適正かつ迅速に処理する必要があること、また、高濃度PCBを含有する安定器が一般廃棄物として排出された場合に適正な処理施設において処理する必要があることから、既存の産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の設置についての特例の対象を追加した。

(3)優良産業廃棄物処理業者の許可申請手続き等に関する見直し

廃棄物処理法において通常の許可基準よりも厳格な基準に適合する者を優良産業廃棄物処理業者として許可しているが、この優良産業廃棄物処理業者の数と質の向上を図るため、事業の透明性に係る基準に適合することを証する書類として環境大臣が指定する者が作成した書類を提出することができることとする等、許可申請に係る手続及び優良認定基準の見直しを実施した。

(4)押印を求める手続の見直し

令和2年7月に閣議決定された「規制改革実施計画」に基づく恒久的な制度的対応として、施行規則の様式で定める、事業者等に対して押印を求めている手続の押印を不要とすることとした。

令和3年改正

(1)福島県内の特定廃棄物処理に関する特例省令の延長

国による福島県内の特定廃棄物の処理に当たって、一般廃棄物及び産業廃棄物の迅速な処理を推進するため、特定廃棄物の処理と併せて国から一般廃棄物及び産業廃棄物の処理委託を受けた場合等における廃棄物処理業に係る許可を不要とする措置を講じた特例省令の効力を10年間延長し、令和13年3月31日とした。

(2)無害化処理認定施設における処理の内容の基準の緩和

低濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物の安全かつ合理的な処理体制の充実・多様化を進めるため、一般廃棄物及び産業廃棄物の無害化処理の内容に係る環境省令で定める基準において、受け入れる一般廃棄物又は産業廃棄物の無害化処理に供する施設への全部投入の規定が緩和された。

廃棄物処理法改正の主な経緯は、こちら

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