理事長ご挨拶

新型コロナウイルスの猛威は収まらず、今年に入って第6波の大波に襲われ、感染者は高止まりの状況が続いています。また、ロシアによるウクライナの侵略は人道危機を招き、世界の安全保障を毀損しています。新年度は健康と安全保障の危機に引き続き対応することが求められています。

JWセンターは、コロナ禍に適切に対応するため、一昨年の春以来、テレワークや時差出勤を積極的に導入し、職員の健康と業務の継続に取り組んでいます。また、これまでの感染性廃棄物に係る経験・知見を踏まえ、環境省からの要請を受け、「廃棄物処理業における新型コロナウイルス対策ガイドライン」を作成・改定してきました。廃棄物処理は感染リスクと隣り合わせです。JWセンターは引き続き廃棄物分野の新型コロナ感染の軽減に貢献していきます。

JWセンターの主要事業である講習会事業は、コロナ禍のなか、3密を避け感染予防を徹底するため、会場での講義を中止し、オンライン講義と会場試験を組み合わせた方式で実施してきました。オンライン講義は、当初、会場での講義に比べて、学習効果が低下することが懸念されていましたが、実際は、会場講義の場合と同等の学習効果が確認されました。学習時間を柔軟に選択できる等のオンラインのメリットも明らかになりました。コロナ終息後の講習会のあり方について受講者に意向を確認したところ、回答いただいた方の7~8割が将来ともオンライン講義が良いとの結果になりました。受講者の意向を踏まえ、コロナ終息後はオンライン講義を中心とし、一部は会場講義とする形式で実施すべく、引き続き検討します。また、社会の要請に応えるため、2022年度からは、循環型社会や安全衛生管理に係るテキストや講義を一層充実させています。排出事業者向けの研修会は、コロナ禍で中止していましたが、2021年度末に双方向型オンライン形式で再開しました。

一作年度はコロナ禍の混乱の中、年間の受講者は大幅に減少しましたが、2021年度はコロナ以前に戻りました。オンライン講習会に切り替えたことから、申し込みはWebに一本化されましたが、Web申し込みをより簡便に実施できる新システムが稼働したところです。引き続き受講者ファーストの観点から講習会・研修会を運営してまいります。

もう一つの主要事業である電子マニフェストの利用は、社会全体のデジタル化の推進の追い風を受け、順調に拡大しています。昨年度1年間の電子化率は71.7%となりました。2018年6月に閣議決定された第四次循環型社会形成推進基本計画では、2022年度の電子化率を70%にするとの目標が掲げられていますが、この目標を一年以上前倒しで達成したことになります。利用件数の増大に対応するために、昨年春に電子マニフェストシステムの更新を試みましたが、機器の不具合により更新できず利用者の皆様に多大のご不便をおかけしてしまいました。昨秋に、改めて更新を行い、無事に新システムへ移行できました。今後とも、利便性の高い電子マニフェストシステムの運営に努めてまいります。

電子マニフェストは、産業廃棄物の適正処理を確保するための措置として導入されましたが、その利用は年々拡大し、今や年間3,500万件以上の産業廃棄物排出・処理データが電子的に蓄積されています。これらの産業廃棄物に係るビッグデータは、有効に利活用することで循環型社会の形成を推進するツールになります。JWセンターでは、環境省のご理解と協力のもと、電子マニフェストのビッグデータを本格的に解析するソフトウエア(電子マニフェストBIツール)を導入するとともに、研究者や自治体の専門家と解析手法について検討を進めています。また、今年2月に都道府県・政令市で電子マニフェストBIツールを利用できる環境を整え、BIツールの利便性、有用性を検証いただいています。循環型社会形成の推進には、地域ごとに循環資源の動態を把握し、きめ細かな施策を展開することが重要です。電子マニフェストに登録された産業廃棄物の排出・処理データの利活用で、これらが可能となることが期待されます。

コロナ禍が継続する中、米国のパリ協定復帰を機に、世界は人類共通の最大の脅威である気候変動問題への対応を本格化させました。2050年カーボンニュートラルに向けて経済社会の大変革が始まっています。カーボンニュートラル実現のためにはエネルギー源の転換や利用の合理化が第一ですが、物の循環的利用も同様に極めて重要です。JWセンターは、このような観点を認識し、電子マニフェストビッグデータを賢明に利活用することで循環型社会の形成推進に貢献していきたいと考えています。JWセンターは、社会が大きく変化する時期にあって、時代の要請に応えて、設立の目的である産業廃棄物の適正処理と循環型社会の形成推進に資する事業をさらに充実・発展させてまいります。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻をお願いいたします。

2022年4月
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
理事長 関 荘一郎

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